60代の再婚、何から始める?・出会いから相続問題まで徹底解説
60代からの人生を共に歩むパートナー探し。
素晴らしい第二の人生の始まりを期待する一方で、多くの疑問や不安がよぎるのではないでしょうか。
「今から新しい出会いはあるのだろうか」「そもそも、60代で再婚する確率はどのくらい?」といった素朴な疑問から、生活費や相続のトラブルといった現実的な問題まで、考えるべきことは少なくありません。
また、大切な子供の気持ちをどう考えるか、後悔をしたくないという思いもあるでしょう。
この記事では、60代の再婚がもたらすメリットやデメリットを正直にお伝えし、あなたが後悔のない、幸せな選択をするためのお手伝いをします。
- 60代の再婚の現状とリアルな確率
 - 再婚がもたらすメリットと注意すべきデメリット
 - 相続や介護など避けて通れない具体的な問題点
 - 自分に合ったパートナーとの出会い方と関係の築き方
 
60代の再婚|知っておきたい現状と心構え
- 60代で再婚する確率は?
 - パートナーと暮らす生活のメリット
 - 知っておきたい再婚のデメリット
 - 再婚後のリアルな生活費の問題
 - 参考になる60代で離婚する理由は?
 
60代で再婚する確率は?
「この年齢で再婚を考えるのは自分だけだろうか」と感じるかもしれませんが、決してそんなことはありません。
近年、60代で新たなパートナーを見つける方は確実に増えています。
国立社会保障・人口問題研究所の調査によると、婚姻件数全体が減少傾向にある中でも、中高年層の婚姻数は増加傾向にあります。
具体的な再婚率のデータは調査年によって変動しますが、60代男性の再婚率は約0.4%〜0.8%、女性は約0.2%〜0.4%程度という情報があります。
これらの数値は全人口に対する割合なので低く見えますが、年間数千人単位の60代の方が再婚という選択をしていることを示しています。
表5-10 夫妻の年齢階級別婚姻件数の年次推移
表5-18 年齢(5歳階級)別婚姻率(人口千対)の年次推移
定年退職や子供の独立といったライフステージの変化を機に、「残りの人生を共に楽しめるパートナーが欲しい」と考えるのは、ごく自然なことなのです。
重要なのは、確率の数字に一喜一憂するのではなく、ご自身がどうしたいかを考え、前向きに行動することだと言えるでしょう。
シニア世代の婚活が活発化している背景
人生100年時代と言われるようになり、60代はまだまだ「これから」の年代です。
健康寿命が延びたことで、リタイア後の人生をより豊かに過ごしたいと考える人が増えました。
結婚相談所やマッチングアプリでもシニア向けのサービスが充実しており、出会いの機会そのものが以前より格段に増えていることも、60代の再婚を後押ししています。
パートナーと暮らす生活のメリット
60代からの再婚には、若い頃の結婚とはまた違った、成熟した世代ならではの素晴らしいメリットがあります。
感情的な部分だけでなく、生活面や健康面でも多くの良い影響が期待できるでしょう。
主なメリットを以下にまとめました。
精神的なメリット
最大のメリットは、孤独感の解消と精神的な安定です。
日々の出来事を共有したり、悩みを相談したりできる相手がいるだけで、生活にハリと安心感が生まれます。
共通の趣味や旅行などを一緒に楽しむことで、人生の喜びが二倍にも三倍にもなるでしょう。
健康面でのメリット
パートナーがいることで、お互いの健康を気遣うようになります。
「最近、顔色が悪いよ」「塩分を控えようか」といった日々の声かけが、病気の早期発見や生活習慣の改善につながります。
一人暮らしではつい不規則になりがちな食生活も、二人で協力することでバランスの取れたものになります。
経済的なメリット
二人で生活することで、家賃や光熱費などの固定費を分担でき、一人当たりの経済的な負担を軽減できます。
また、法律婚であれば配偶者控除などの税制上の優遇を受けられる場合もあります。
経済的な安心感は、精神的な余裕にも直結します。
人生経験を積んだ60代だからこそ、相手への深い思いやりや尊重が生まれやすく、穏やかで安定した関係を築きやすいのも大きな魅力です。
知っておきたい再婚のデメリット
もちろん、良いことばかりではありません。
長年、別々の人生を歩んできた二人が一緒に暮らすからこそ生じる、特有のデメリットや課題も存在します。
再婚を決める前に、これらの点を冷静に理解しておくことが非常に重要です。
長年の生活スタイルの違い
50年、60年と生きてくると、誰にでも確立された生活リズムや価値観があります。
朝型と夜型、お金の使い方、家事のやり方など、些細な違いが日々のストレスになる可能性は否定できません。
お互いのスタイルを尊重し、譲り合う姿勢がなければ、共同生活は難しいものになるでしょう。
家族や親族との複雑な関係
お互いに子供や孫がいる場合、家族関係はより複雑になります。
特に相続問題が絡むと、子供たちが再婚に反対するケースも少なくありません。
新しい家族との関係構築には、時間と忍耐が必要です。
過去のパートナーとの比較
特に死別を経験された場合、無意識のうちに亡くなったパートナーと思い出や行動を比較してしまい、新しいパートナーを傷つけたり、自分が苦しんだりすることがあります。
過去は過去として大切にしつつ、目の前の相手と新たな関係を築くという意識が求められます。
これらのデメリットは、事前の十分なコミュニケーションによって乗り越えられる可能性が高いです。
焦らず、お互いのことを深く理解する時間を設けることが、失敗を避ける鍵となります。
再婚後のリアルな生活費の問題
再婚後の生活において、お金の問題は最も現実的で重要なテーマの一つです。
お互いにある程度の資産や年金収入があるからこそ、事前にルールを決めておかないと後々のトラブルに発展しかねません。
まず考えるべきは、「お財布をどう管理するか」です。
全ての収入を一つに合算するのか、生活費用の共通口座を作って毎月定額を入れ合うのか、あるいは家賃は夫、食費は妻といったように項目で分担するのか。
正解はありませんが、お互いが納得できる形を話し合っておく必要があります。
年金収入や貯蓄額は人それぞれです。
どちらか一方に負担が偏らないよう、お互いの経済状況をオープンにした上で、公平な負担割合を決めることが大切ですね。
特に、個人的な趣味や交際費、子供や孫への援助などをどこから支出するのかは、曖昧にしがちですが重要なポイントです。
生活費と個人のお金を明確に区別するルールを決めておくと、お互いに気兼ねなくお金を使えるようになり、ストレスを減らすことができます。
参考になる60代で離婚する理由は?
60代の再婚を成功させるためには、同じ世代の夫婦がなぜ離婚、いわゆる「熟年離婚」に至るのかを知っておくことも参考になります。
失敗の原因を知ることで、同じ轍を踏まないためのヒントが見えてくるからです。
熟年離婚の主な理由として、以下のような点が挙げられます。
長年のコミュニケーション不足
夫が定年退職し、夫婦が顔を合わせる時間が急増したことで、会話のなさや価値観の違いが浮き彫りになるケースです。
「夫は家のことを何もしてくれない」「妻が何を考えているかわからない」といった不満が積み重なり、関係が破綻してしまいます。
相手への無関心・リスペクトの欠如
長年連れ添ううちに、相手を「空気のような存在」として扱い、感謝や思いやりの言葉をかけなくなることも原因の一つです。
「言わなくてもわかるだろう」という甘えが、相手の心を少しずつ離れさせてしまいます。
人生の価値観の変化
「子育ても終わったし、これからの人生は自分のために生きたい」と考えるようになることも、離婚のきっかけになります。
趣味や友人との時間を尊重せず、相手を束縛しようとすると、関係に亀裂が入りやすくなります。
これらの離婚理由は、再婚後の生活においても十分に起こりうる問題です。
新しいパートナーだからこそ、意識的にコミュニケーションを取り、お互いを一人の人間として尊重し、感謝の気持ちを言葉で伝える努力が不可欠だと言えるでしょう。
60代の再婚を成功させるための注意点
- 再婚後に後悔しないためのポイント
 - 避けては通れない相続などのトラブル
 - 大切にしたい子供の気持ちとの向き合い方
 - パートナーとの出会いの見つけ方
 - 籍を入れない事実婚という選択肢
 - 親や自分たちの介護問題への備え
 
再婚後に後悔しないためのポイント
60代からの再婚で幸せな関係を長続きさせるためには、いくつかの重要な心構えがあります。
情熱だけで突っ走るのではなく、大人の分別をもって、慎重に関係を育んでいくことが大切です。
完璧を求めすぎない
長年生きてくれば、誰にでも長所と短所があります。
相手に完璧を求めたり、自分の価値観を押し付けたりするのはやめましょう。
「違うのが当たり前」という前提に立ち、お互いの違いを認め、受け入れる寛容さが何よりも重要です。
過去の経験を活かし、尊重する
過去の結婚生活での失敗や学びは、新しい関係を築く上での貴重な財産です。
なぜ前の関係が終わったのかを自分なりに分析し、同じ過ちを繰り返さないようにしましょう。
同時に、相手の過去も詮索しすぎず、尊重する姿勢が信頼関係を深めます。
焦らずに時間をかける
孤独感から焦って再婚を決めてしまうと、「こんなはずではなかった」と後悔する原因になります。
交際期間を十分に設け、季節の移り変わりや様々な出来事を共に経験する中で、相手の本質を見極めることがとても大切。
同棲期間を設けてみるのも良い方法です。
最も大切なのは、感謝の気持ちを常に言葉で伝えることです。
「ありがとう」「助かるよ」といった些細な一言が、穏やかで温かい関係を育んでいきます。
避けては通れない相続などのトラブル
前述の通り、60代の再婚において最も深刻なトラブルに発展しやすいのが、お金、特に「相続」と「年金」の問題です。
愛情だけでは解決できない問題だからこそ、結婚前に必ず専門家も交えて話し合い、対策を講じておく必要があります。
相続問題:子供の権利を守るために
法律上、再婚相手は法定相続人となり、あなたの財産を相続する権利を持ちます。
その結果、あなたの実子の相続分が減少するため、子供たちとの間に対立が生まれることが非常に多いです。
| 相続人の組み合わせ | 配偶者の相続分 | 子供の相続分 | 
|---|---|---|
| 配偶者と子供(再婚前) | なし | すべて | 
| 配偶者と子供(再婚後) | 1/2 | 1/2 (子供全員で分ける) | 
このようなトラブルを避けるため、「誰に、どの財産を、どれだけ残すのか」を明確にする「遺言書」の作成を強く推奨します。
特に、法的な効力が強い「公正証書遺言」を作成しておくと、将来の争いを大幅に減らすことができます。
年金問題:遺族年金の受給停止
非常に重要な注意点として、亡くなった前の配偶者から遺族年金(遺族厚生年金など)を受給している場合、再婚(事実婚含む)するとその権利を失います。
これは生活設計に大きな影響を与える可能性があるため、再婚後の家計をシミュレーションする上で絶対に忘れてはならないポイントです。
お金の問題は非常にデリケートですが、ここを曖昧にしたまま再婚に進むべきではありません。
弁護士や行政書士、ファイナンシャルプランナーといった専門家の助言を求めることも、賢明な選択です。
大切にしたい子供の気持ちとの向き合い方
あなたが大切に育ててきた子供たちは、あなたの幸せを願っています。
しかし、親の再婚に対して、戸惑いや寂しさ、不安といった複雑な感情を抱くのも事実です。
子供の気持ちを無視して話を進めると、親子関係に深い溝が生まれてしまう可能性があります。
子供と向き合う際は、以下の点を心掛けましょう。
一方的な報告ではなく「相談」する
「再婚することにしたから」と事後報告するのではなく、「再婚を考えている人がいるんだけど、どう思う?」と、相談という形で丁寧に話すことが大切です。
子供を一人の大人として尊重する姿勢が、円満な対話の第一歩です。
子供の不安に耳を傾ける
子供が反対する場合、その背景には「亡くなった親の思い出が薄れてしまうのでは」「財産目当てではないか」といった様々な不安が隠れています。
頭ごなしに否定せず、まずは子供が何に不安を感じているのかをじっくりと聞いてあげてください。
時間をかけて理解を求める
すぐに賛成してもらえなくても、焦りは禁物です。
パートナーを交えて食事をする機会を設けるなど、少しずつお互いが知り合う時間を作りましょう。
あなたの幸せそうな姿を見せること、そしてパートナーが誠実な人柄であることを理解してもらうことで、子供の気持ちも次第に変化していくはずです。
パートナーとの出会いの見つけ方
いざパートナーを探そうと思っても、「どこで出会えばいいのかわからない」という方も多いでしょう。
60代の出会いの場は、若い頃とは異なります。自分に合った方法を選ぶことが、良いご縁への近道です。
| 方法 | メリット | デメリット | 
|---|---|---|
| 結婚相談所 | ・結婚への真剣度が高い人と出会える ・身元が保証されていて安心 ・プロのサポートを受けられる  | 
・費用が比較的高額になる ・手続きなどが煩雑に感じる場合も  | 
| 婚活パーティー・イベント | ・一度に複数の人と直接会える ・趣味や年代別の企画が豊富 ・比較的気軽に参加できる  | 
・短時間で相手を見極める必要がある ・プロフィールが自己申告の場合も  | 
| シニア向けマッチングアプリ | ・自分のペースで活動できる ・費用が安価 ・居住地や趣味で相手を探しやすい  | 
・相手の真剣度が見えにくい ・詐欺などのリスクに注意が必要  | 
| 趣味や習い事 | ・自然な形で出会える ・共通の話題で盛り上がりやすい  | 
・出会いが目的ではないため進展しにくい ・独身者がいるとは限らない  | 
どの方法が一番良いというわけではありません。
ご自身の性格やライフスタイル、結婚に求める真剣度などを考慮して、いくつかの方法を試してみるのがおすすめです。
籍を入れない事実婚という選択肢
60代のパートナーシップは、必ずしも法律上の婚姻(入籍)だけがゴールではありません。
お互いの生き方を尊重し、あえて籍を入れずに共同生活を送る「事実婚」を選ぶカップルも増えています。
事実婚は、住民票に「夫(未届)」「妻(未届)」と記載することで、社会保険の扶養に入れるなど、法律婚に近い社会保障を受けられる場合があります。
一方で、相続や税金の面では法律婚とは異なる扱いになるため、メリットとデメリットを正しく理解することが重要です。
法律婚と事実婚の主な違い
- 相続権
事実婚のパートナーには、原則として法定相続権がありません。
財産を残したい場合は、遺言書が必須となります。 - 税金
配偶者控除や医療費控除の合算などは適用されません。 - 姓の変更
姓を変える必要がないため、手続きの手間がありません。 - 子供との関係
お互いの連れ子との関係において、相続などの法的な親子関係は発生しません。
これにより、相続トラブルを回避しやすいという側面もあります。 
特に相続問題をシンプルにしたい、お互いの財産は独立させたい、という考えがある場合には、事実婚は非常に合理的な選択肢となり得ます。
形式にこだわらず、お二人にとって最も心地よい関係性を築くことが大切です。
親や自分たちの介護問題への備え
60代からのパートナーシップでは、将来の「介護」の問題を避けて通ることはできません。
自分たち自身の、あるいはそれぞれの親の介護が、いつ始まってもおかしくない年代です。
このデリケートな問題について、元気なうちから話し合っておくことは、お互いへの誠実さの証と言えるでしょう。
「もし、どちらかが倒れたらどうする?」
「親の介護が必要になったら、どう協力し合える?」
こうした話し合いは、決して縁起の悪いものではなく、将来の安心のための大切なステップです。
具体的に話し合っておきたいポイントは以下の通りです。
- 希望する介護の形
在宅介護を望むのか、施設への入所を視野に入れるのか。 - 費用負担
介護にかかる費用を、どちらの資産や年金から、どのように捻出するのか。 - キーパーソン
介護が必要になった際、主に誰が手続きなどを担うのか。子供たちにどこまで頼るのか。 
お互いの意思を尊重し、いざという時に慌てないための準備をしておくことで、安心してこれからの人生を共に歩むことができます。
幸せな60代の再婚を叶えるために
最後に、この記事の要点をまとめます。
幸せな60代の再婚を叶えるために、ぜひ心に留めておいてください。
- 60代の再婚は特別なことではなく確実に増えている
 - 精神的・経済的なメリットは大きい
 - 生活習慣の違いや家族関係などデメリットも理解する
 - お金の管理方法は結婚前に具体的に話し合う
 - 熟年離婚の理由を知り同じ過ちを繰り返さない
 - 相手に完璧を求めず違いを受け入れる寛容さを持つ
 - 焦らず十分な交際期間を設ける
 - 感謝の気持ちを常に言葉で伝える
 - 相続問題は遺言書の作成でトラブルを予防する
 - 遺族年金は再婚すると受給停止になることを知っておく
 - 子供には一方的な報告でなく相談する姿勢で向き合う
 - 自分に合った出会いの方法を試してみる
 - 籍を入れない事実婚も有力な選択肢の一つ
 - 将来の介護について元気なうちに話し合っておく
 - 何よりもまずお互いを尊重し対話を重ねる
 
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