60代の資格選びで失敗しない戦略と勉強法を徹底解説

60代の日本人男女が資格証を手に持ち、自信を持って未来を見据えるイメージ。再就職と新しい働き方を象徴

60代の資格選びで失敗しない戦略と勉強法や就職に活かす方法まで徹底解説

こんにちは。
60歳からの素敵ライフ、管理人の「SACHI」です。

定年退職を迎えてホッと一息ついたのも束の間
これからの長い人生を考えると、経済的な不安や「社会とつながっていたい」という思いが頭をよぎることはありませんか。

「60代 資格」と検索されているあなたも、きっと再就職や新しい働き方について真剣に模索されているお一人なのだと思います。
年齢の壁を感じて自信をなくしてしまうこともあるかもしれませんが、実は「資格」という武器を適切に選ぶことで、私たちの年代だからこそ輝ける場所は確実に存在します。

この記事では、単なる資格の紹介だけでなく、実際に就職につながるのか、体力的に続けられるのかという視点から、60代の戦略的な資格選びについてお話しします。

記事のポイント
  • 60代の男女別に再就職で本当に有利になる具体的な資格と働き方
  • 未経験からでも挑戦しやすく現実的に収入につながる仕事のリスト
  • 年齢による記憶力の低下をカバーする効果的な独学と試験勉強のコツ
  • 資格を取得しても就職できないケースの原因と履歴書作成のポイント

定年後の生活を考えるとき、やはり気になるのが「仕事」のことですよね。
これまでの経験を活かしつつ、新しい分野で活躍するために「資格」はとても強力な武器になります。

ここでは、60代の男性や女性におすすめの資格や、それぞれの働き方の特徴について、私の視点で整理してみました。

女性におすすめの登録販売者と働き方

ドラッグストアのカウンターで白衣を着た60代の日本人女性(登録販売者)がお客様に親切にアドバイスする様子

60代の女性にとって、体力的な負担を抑えつつ、長く地域社会の中で働ける職場として今、非常に注目されているのがドラッグストア業界です。

私たちの生活圏内には必ずと言っていいほどドラッグストアがありますが、そこで白衣を着て働いているスタッフさんの中に、同世代の女性を見かけることはありませんか?
彼女たちの多くが持っている資格、それが「登録販売者」です。

登録販売者は、2009年の薬事法改正によって生まれた比較的新しい公的資格で、薬剤師さんに次ぐ「お薬のスペシャリスト」として位置づけられています。
具体的には、風邪薬や鎮痛剤、胃腸薬といった「一般用医薬品(第2類・第3類)」を販売することができる資格です。

これらはドラッグストアで扱われる医薬品の9割以上を占めると言われており、薬剤師さんが不在の時間帯でもお薬を販売できるため、お店にとっては非常にありがたい存在なんですね。

私がこの資格を60代の女性に強くおすすめしたい理由は、大きく分けて3つあります。

登録販売者が60代女性にフィットする理由

  • 求人が圧倒的に豊富
    ドラッグストアだけでなく、スーパーやコンビニ、ホームセンターでも医薬品販売が増えており、自宅近くで職場が見つかりやすいです。
  • 体力的な負担が比較的少ない
    介護職のような重労働や、清掃業のような激しい運動量は少なく、レジ打ちや品出し、お客様への相談対応がメイン業務となります。
  • 資格手当で時給アップ
    一般的なパートタイムの時給に加えて、月額5,000円〜15,000円程度、あるいは時給換算で数十円〜百円程度の資格手当がつくケースが多いです。

以前は受験するために「実務経験」が必要でしたが、現在はその制限が撤廃され、学歴や年齢に関係なく誰でも試験に挑戦できるようになりました。
これは私たちにとって大きなチャンスです。

試験の内容は、お薬の成分や人体の仕組み、薬事法などの法律知識が中心ですが、コツコツと暗記すれば独学でも十分に合格を目指せます。

ただし、一つだけ注意点があります。
試験に合格した直後は「研修中」という扱いになり、正規の登録販売者として一人で売り場に立つためには、直近5年以内に通算2年以上の実務経験が必要になります。

そのため、最初は「研修中のスタッフ」として働き始めることになりますが、人手不足の業界ですので、研修中でも採用してくれる店舗はたくさんあります。

お客様から「ありがとう、あなたに相談してよかったわ」と言われる喜びは、何物にも代えがたいやりがいになるはずですよ。

男性が稼げるビルメン関連の国家資格

作業服とヘルメットを着用した60代の日本人男性が、オフィスビルの設備管理室で計器盤を点検している様子

男性の定年後の再就職先として、長年「鉄板」と言われ、非常に手堅い需要があるのが「ビルメンテナンス(設備管理)」、通称「ビルメン」の業界です。
普段私たちが利用しているオフィスビルや商業施設、病院、ホテルなどが快適に動いているのは、裏方として電気や空調、ボイラーなどを管理しているビルメンの方々がいるおかげなんですね。

この仕事の最大の魅力は、「年齢に寛容であること」「一度技術を身につければ長く働けること」です。
実際、現場では60代はまだまだ若手扱いで、70代で現役として活躍されている方も珍しくありません。

そして、この業界で働くために「神器」と呼ばれるほど重宝され、採用の決め手となる資格がいくつか存在します。

ビルメン業界の必須資格「4点セット」とは?

業界では以下の4つの資格が特に評価されます。
これらを揃えていくことがキャリアアップの近道です。

1. 危険物取扱者 乙種4類(乙4)
2. 第二種電気工事士
3. 二級ボイラー技士
4. 第三種冷凍機械責任者

これらの中でも、60代からまず目指すべきなのが「危険物取扱者 乙種4類(通称:乙4)」「第二種電気工事士」です。

「乙4」は、ガソリンや灯油などの引火性液体を扱うための資格です。
これがあると、セルフ式ガソリンスタンドの「夜間監視員」という仕事に就きやすくなります。

主な業務は、モニターでお客さんの給油状況を確認して給油許可ボタンを押すことで、肉体労働はほとんどありません。
夜勤が含まれることが多いですが、空き時間に読書ができたり、仮眠時間がしっかり確保されていたりと、体力に自信がなくなってきた方でも無理なく続けられるのが特徴です。

一方、「第二種電気工事士」は、コンセントの増設や照明器具の交換など、一般住宅や店舗の電気工事を行うことができる国家資格です。
これは「業務独占資格」といって、この資格がないと作業をしてはいけないと法律で決まっています。

そのため、ビル管理会社だけでなく、リフォーム会社や家電量販店の工事部門などからも引き合いがあります。
実技試験があり、少しハードルは高いですが、取得すれば「手に職がついた」状態となります。

シルバー人材センターなどでも専門職として高単価な仕事が回ってくる可能性が高いです。

定年後の独立を目指すなら行政書士や宅建

自宅の一室にあるプロフェッショナルな机に座り、独立開業をイメージさせる60代の日本人男性の士業イメージ

長年の会社員生活を終え、
「定年後は組織のしがらみから解放されて、自分の名前で勝負したい」
「一国一城の主になりたい」という夢をお持ちの方もいらっしゃると思います。

そんな独立志向の方の候補に挙がるのが、「行政書士」や「宅地建物取引士(宅建)」といった士業の資格です。

まず「行政書士」
これは「街の法律家」として、官公署に提出する書類の作成や、遺言書・相続関係の書類作成代理などを行う仕事です。
自宅を事務所にして開業できるため、初期投資が少なくて済むのが魅力です。
名刺に「行政書士」と刷り込み、先生と呼ばれる生活には憧れますよね。

しかし、現実は甘くありません。
行政書士は試験合格率が10%程度の難関資格でありながら、資格を取っただけでは仕事が自動的に舞い込んでくることはありません。

「コネなし・経験なし」の状態から、自分で営業をして顧客を開拓しなければならないのです。
正直なところ、営業力がかなり問われる世界であり、収益化するまでには数年の赤字を覚悟する必要があるかもしれません。

そこで、私が戦略的におすすめしたいのが「宅地建物取引士(宅建)」です。
宅建は不動産取引の専門家ですが、行政書士との決定的な違いは、不動産会社に「従業員5人に1人以上の割合で設置しなければならない」という法的な義務(必置義務)がある点です。

60代における宅建の活用法

  • 再就職のパスポート
    必置資格であるため、年齢に関わらず有資格者を欲しがっている不動産会社は山ほどあります。
  • 重要事項説明(重説)のパート
    契約前の重要事項説明は宅建士の独占業務です。
    土日だけ、あるいは繁忙期だけ「重説」を行ってほしいというスポット的な求人も増えています。
  • 独立開業も視野に
    もちろん、自宅で小さな不動産屋さんを開業することも可能です。

60代の持つ「人生経験」や「落ち着き」は、不動産という高額な商品を扱う場面でお客様に安心感を与えます。
「独立」という夢を追いかけつつ、万が一のときは「就職」という安全策も取れるという意味で、宅建は非常に潰しが効く賢い選択肢だと言えるでしょう。

食べていける資格として介護職員初任者研修

訪問介護員として利用者宅で洗濯物を畳むなど、生活援助を行う優しい雰囲気の60代の日本人女性

超高齢社会を迎えた日本において、景気に左右されず、常に圧倒的な求人数があるのが介護・福祉業界です。
「60代・未経験」であっても、面接に行けば大歓迎される唯一無二の市場と言っても過言ではありません。

その入り口となる資格が「介護職員初任者研修」です。
以前は「ホームヘルパー2級」と呼ばれていたもので、介護の基礎知識と技術を学ぶ入門資格です。

もしかすると、「介護なんて、体力的にきついし、下の世話をするのはちょっと…」と抵抗感を持たれる方もいらっしゃるかもしれません。
確かに身体介護は体力を要しますが、実はこの資格を持っていると、仕事の選択肢は身体介護だけに留まりません。

例えば、訪問介護における「生活援助」という業務があります。
これは、利用者様の自宅に伺って、掃除、洗濯、買い物、調理などを行う仕事です。

長年主婦として家事を切り盛りされてきた女性や、一人暮らしで家事に慣れている男性なら、これまでのスキルをそのまま活かすことができます。
また、デイサービスの送迎ドライバーや、施設内の見守りスタッフなど、身体的な負担を抑えた働き方も可能です。

なぜ無資格ではいけないの?

無資格でも介護助手として働くことは可能です。
しかし資格がないと利用者様の体に触れる業務ができなかったり、訪問介護の仕事ができなかったりと、業務範囲が大きく制限されます。

また、資格手当がつかないため給与面でも不利になります。
わずか1ヶ月〜3ヶ月程度の研修で取得できるので、最初に取っておくのが絶対に得策です。

何より、介護の仕事は「ありがとう」という言葉を直接いただける機会が多く、「人の役に立っている」という実感がダイレクトに得られます。

定年後に社会とのつながりが希薄になりがちな中で、誰かに必要とされる喜びを感じられることは、精神的な健康維持にも大きく寄与します。
「食べていける確実な資格」として、検討する価値は十分にあります。

マンション管理士は60代の実務経験が役に立つ

日本の住宅事情を見ると、新築マンションの建設ラッシュが一段落し、これからは既存のマンションをどう維持・管理していくかという「ストックの時代」に入っています。
建物が老朽化すると同時に、住んでいる住民も高齢化しており、管理組合の運営が難しくなっているケースが急増しています。

そこで注目されているのが「マンション管理士」「管理業務主任者」です。

これらの資格はよく似ていますが、役割が明確に異なります。
マンション管理士は、住民側(管理組合)のコンサルタントとして、規約の改正や大規模修繕の計画などについてアドバイスを行います。

一方、管理業務主任者は、管理会社(企業側)に所属し、管理委託契約に関する重要事項説明や報告業務を行う必置資格です。

この分野で60代が輝ける理由は、マンション管理の現場が「人間関係の調整」の連続だからです。
騒音トラブル、ゴミ出しのマナー、修繕積立金の不足問題など、管理組合では様々な問題が発生します。

こうした場面で求められるのは、法律の知識もさることながら、住民の話をよく聞き、角を立てずに合意形成を図る「調整能力」「コミュニケーション能力」です。

若い担当者だと、住民から「若造に何がわかる」と軽く見られてしまうこともあります。
しかし人生経験が豊富で物腰の柔らかい60代の方であれば、住民の方々も安心して耳を傾けてくれる傾向にあるのです。

特に「管理業務主任者」の資格を持って管理会社の「マンション管理人(フロントマネージャー)」として働けば、これまでの会社員生活で培った管理能力や折衝能力を存分に発揮できるでしょう。

理想的なのは、宅建、マンション管理士、管理業務主任者の3つをセットで取得する「不動産トリプルクラウン」を目指すこと。
ですが、まずは就職に直結しやすい「管理業務主任者」から攻めるのが戦略的です。

語学や趣味を生かして働く通訳案内士とドローン

「定年後くらいは、生活のためだけでなく、自分の好きなことや得意なことを仕事にしたい」と考えるのも、とても素敵な選択です。
ここでは、趣味や特技を実益に変える資格を2つご紹介します。

一つ目は、語学が得意な方におすすめの「通訳案内士」です。
コロナ禍が明け、日本には再び多くの外国人観光客(インバウンド)が訪れています。

日本の歴史や文化、伝統に造詣が深いシニア世代こそ、外国の方に日本の魅力を伝えるガイド役に適任です。
国家資格である「全国通訳案内士」は難関ですが、最近では地域限定で活動できる「地域通訳案内士」や、資格がなくてもガイドができる制度緩和も進んでいます。

ボランティアガイドから始めて経験を積み、徐々に有料のプライベートガイドとして活動の幅を広げていくのも良いでしょう。
歩く仕事なので健康維持にも最適です。

二つ目は、意外に思われるかもしれませんが「ドローン操縦士」です。
「ドローンなんて若者の遊び道具では?」と思われるかもしれませんが、実は産業用ドローンの世界ではシニアの需要が高まっています。
例えば、建物の屋根や外壁の点検、橋梁の調査、農薬散布などの分野です。

これまで足場を組んで人が登って行っていた危険な作業を、ドローンが代替してくれるわけです。
ここで求められるのは「アクロバティックな飛行技術」ではありません。

絶対に事故を起こさないための「慎重さ」「安全確認の徹底」、そして「マニュアル遵守の姿勢」です。

若者は反射神経が良い反面、無茶な操作をしてしまいがちです。
逆にリスク管理に長けたシニア世代の方が、安心して業務を任せられるという声が現場では聞かれます。

新しいテクノロジーに触れることは脳への良い刺激にもなりますし、「孫に自慢できるじいじ・ばあば」になれるかもしれませんよ。

60代から資格でキャリアを築くための学習と現実

ここまで、60代におすすめの様々な資格とその魅力についてご紹介してきました。
「よし、やってみようかな」と前向きな気持ちになっていただけたなら嬉しいです。

しかし、ここからは少し視点を変えて、資格取得にまつわる厳しい「現実」と、それを乗り越えるための具体的な「戦略」についてお話ししなければなりません。

60代からの資格取得は、20代や30代の頃とは状況が全く異なります。
残された時間は無限ではありませんし、失敗した時のリカバリーも難しくなります。

合格することだけをゴールにするのではなく、「その資格を取ってどうなりたいのか」「その後の生活をどう豊かにするのか」という出口戦略をしっかり描くことが重要です。

未経験からチャレンジしやすい仕事と資格一覧

まずは、理想論ではなく現実論として、「未経験からでも比較的参入しやすく、かつ現実的に仕事が見つかりやすい資格」を整理してみましょう。

学習にかかる時間や費用、そして就職のしやすさを一覧表にまとめました。
ご自身のリソース(時間・予算・体力)と照らし合わせてみてください。

資格名 学習期間目安 主な就職先 おすすめ度 備考・特徴
介護職員初任者研修 約1ヶ月
(130時間)
介護施設
訪問介護事業所
★★★★★ もっとも就職確度が高い。
助成金を使えば実質無料で取得できる自治体も多い。
登録販売者 3〜6ヶ月
(300〜400時間)
ドラッグストア
スーパー
★★★★☆ 女性に人気。体力負担少なめ。
合格後は「研修中」として勤務開始。
危険物取扱者 乙4 1〜2ヶ月
(50〜60時間)
ガソリンスタンド
施設管理会社
★★★★☆ 男性に人気。
短期集中で取得可能。
夜勤の監視員業務で需要あり。
二種電気工事士 3〜4ヶ月
(筆記+実技)
ビル管理会社
工務店
★★★★☆ 手に職がつく一生モノ。
実技試験の練習に工具等の費用が少しかかる。
宅地建物取引士 6ヶ月〜1年
(300〜400時間)
不動産会社
金融機関
★★★☆☆ 難易度は高いが市場価値も高い。
合格率15〜17%の狭き門。
マンション管理士 6ヶ月〜1年
(500時間〜)
独立開業
管理組合顧問
★★☆☆☆ 合格率8%前後の難関。
就職よりも独立向き。
管理業務主任者の方が就職には有利。

このように並べてみると、学習期間と就職のしやすさにはある程度の相関関係やバランスがあることが分かります。

例えば、「すぐに働いて収入を得たい」のであれば、介護職員初任者研修や乙4が最適解ですし、「じっくり勉強して将来の独立に備えたい」なら宅建やマンション管理士が選択肢に入ります。

ご自身の残りの時間とエネルギーをどこに投資するか、戦略的に判断してくださいね。

60代でも独学で合格可能な試験勉強のコツ

図書館やカフェで、集中して資格試験のテキストを開いている60代の日本人学習者。効率的な独学を表現

資格に挑戦しようとしたとき、多くの方が口にするのが
「もう歳だから記憶力が落ちていて…」
「若い頃のように覚えられない」という不安です。

でも、安心してください。
最新の脳科学の研究では、記憶を司る脳の「海馬」という部分の神経細胞は、高齢になっても再生することが分かっているそうです。
つまり、年齢を理由に諦める必要はないのです。

ただし、10代や20代の頃と同じような「丸暗記」の勉強法は通用しません。
加齢とともに「機械的な記銘力」は低下します。
一方で経験に基づいた「理解力」や「関連付け能力」は維持されています。
私たち60代には、60代なりの「脳の使い方のコツ」があるのです。

シニアのための効率的な学習法

  • エピソード記憶を使う
    単なる用語の暗記ではなく、「親の介護の時はこうだったな」「家を買った時の契約書はこうだった」と、自分の過去の経験と結びつけて覚えるのが最強の記憶術です。
  • アウトプット重視
    テキストをただ読む(インプット)だけでは脳に定着しません。
    過去問を解く、覚えたことを家族や友人に説明してみる(アウトプット)ことで、脳が「これは重要な情報だ」と認識し、記憶に残ります。
  • 場所を変えて刺激を与える
    ずっと自宅の机で勉強するのではなく、図書館やカフェ、公園のベンチなど場所を変えてみましょう。
    場所の記憶と勉強内容がセットになり、思い出しやすくなります。
  • 朝の時間を活用する
    夜は脳が疲れています。
    朝食前の30分など、脳がフレッシュな状態の時間を勉強に充てるのが効率的です。

私も資格試験の勉強をしたときは、愛犬の散歩中に用語をブツブツとつぶやいて復習していました(笑)。
完璧を目指さず、楽しみながら続けることが合格への近道です。

難易度が高い国家資格への挑戦とリスク

「どうせやるなら最高峰を目指したい」と、社会保険労務士(社労士)や行政書士、司法書士といった超難関資格に挑戦しようとする方もいらっしゃいます。

その向上心は本当に素晴らしいものです。しかし、そこには無視できないリスクも潜んでいます。

例えば、社会保険労務士の合格率は例年6〜7%程度。
合格に必要な勉強時間は一般的に800〜1000時間以上と言われています。

毎日3時間勉強しても1年近くかかる計算です。
もし、1年かけて必死に勉強して不合格だった場合、その時間と労力は戻ってきません。
また、難関資格であればあるほど、試験日が年に1回しかないことが多く、チャンスが限られています。

私が懸念するのは、難関資格の勉強に数年を費やしてしまい、その間に年齢が上がって、いざ「やっぱり働こう」と思った時に再就職の選択肢が狭まってしまうことです。

「サンクコスト(埋没費用)」といって、「これだけ時間をかけたのだから辞めるのはもったいない」と後に引けなくなってしまう心理も働きます。

「趣味としての学習」や「ボケ防止」と割り切れるなら全く問題ありません。
「生活の糧を得るため」が主目的であれば、まずは合格率が高く、確実に仕事につながる資格(例えば乙4や介護、登録販売者など)を先に取って足場を固めることを強くおすすめします。

難関資格への挑戦は、生活基盤を安定させてからでも遅くはありません。

資格を取っても就職できない現実と回避策

オフィスで年下の管理職の話を真剣かつ謙虚な姿勢で聞いている60代の日本人男性。再就職に必要な柔軟性と協調性

非常に残念なことですが、「資格さえあれば無条件で就職できる」というのは幻想です。

特に60代の再就職市場では、どれだけ立派な資格を持っていても、採用面接で落とされてしまうケースが後を絶ちません。
そこには、依然として厳しい「年齢の壁」と、企業側が抱く「シニア人材への懸念」が存在します。

企業が本当に求めているのは、単なる資格保持者ではありません。
「その資格を使って、職場の和を乱さずに、素直に働いてくれる人」です。
採用担当者が一番恐れているのは、「扱いにくいシニア」が入ってくることなのです。

再就職失敗の典型パターン

最も多い失敗理由は、「元部長」「元役員」といった過去のプライドが捨てられないことです。
「こんな雑用は私の仕事じゃない」「前の会社ではこうだった」と批判したり、年下の上司や先輩スタッフの指示に素直に従えなかったりする人は、どんなに難関資格を持っていても敬遠されます。

「資格」はあくまで書類選考を通過するための通行手形に過ぎません。
面接や現場で本当に試されるのは、「謙虚な姿勢」と「柔軟性」、そして「新しい環境に馴染もうとする努力」です。
これこそが、60代が持つべき最強のスキルだということを忘れてはいけませんね。

これはかなり前ですが、営業先で人事部を経験した人から聞いた話です。
中途採用する上で重要視していたのが「素直、努力家、負けず嫌い」の3つだそうです。

特に年齢が上がる程、「素直さ」を見ると言っていたました。

資格取得後の再就職で失敗しない履歴書の書き方

では、具体的にどうアピールすればよいのでしょうか。
履歴書や職務経歴書を書く際は、単に資格欄を埋めるだけでなく、その資格を活かして「今の自分に何ができるか」「どう貢献できるか」を具体的に書くことが大切です。

例えば、宅建を取得して不動産会社に応募する場合を考えてみましょう。
「宅建を取得しました」とだけ書くのではなく、以下のように書き添えてみてください。

「長年の営業職で培った傾聴力を活かし、お客様の不安に寄り添った丁寧な重要事項説明を行います。貴社の若手社員の方々のサポート役としても貢献したいと考えております」

このように、「資格×過去のキャリア×貢献意欲(フォロワーシップ)」を掛け合わせてアピールするんです。
そうすることで採用担当者に
「この人なら安心して任せられそうだ」
「職場の雰囲気も良くしてくれそうだ」というポジティブな印象を与えることができます。

定年後の資格取得費用を抑える給付金制度の活用

資格取得には、テキスト代や受験料、場合によってはスクールや通信講座の受講料など、それなりのお金がかかります。
老後資金を少しでも守りたい私たちにとって、出費はできるだけ抑えたいですよね。

そこで絶対に活用していただきたいのが、国や自治体の支援制度です。

代表的なのが、厚生労働省が管轄する「教育訓練給付制度」です。
これは、一定の条件を満たす雇用保険の被保険者(または離職者)が、厚生労働大臣の指定する講座を受講し修了した場合、その費用の20%〜最大70%がハローワークから支給されるという大変ありがたい制度です。

  • 一般教育訓練給付金
    受講費用の20%(上限10万円)が支給されます。
    多くの通信講座や資格スクールが対象になっています。
  • 特定一般教育訓練給付金
    受講費用の40%(上限20万円)が支給されます。
    速やかな再就職や早期のキャリア形成に資する講座が対象です。
  • 専門実践教育訓練給付金
    受講費用の50%〜70%(上限あり)が支給されます。
    看護師や介護福祉士など、より専門的な資格が対象です。

詳しい受給条件や対象講座については、以下の公式サイトで必ず確認してください。
(出典:厚生労働省『教育訓練給付制度』

また、これとは別に、多くの自治体が独自の「資格取得支援事業」を行っています。
特に人手不足が深刻な「介護職員初任者研修」については、市内の介護事業所に就職することを条件に、受講料を全額助成(実質無料)してくれる自治体も少なくありません。

こういったお得な情報は、待っていても誰も教えてくれません。
受講を申し込む前に、必ずハローワークや、お住まいの役所の「高齢福祉課」などの窓口で確認してみてくださいね。

60代の資格選びで重要なのは体力と需要の見極め

最後に、これから新たな一歩を踏み出そうとしているあなたに、私が一番お伝えしたいことがあります。それは「健康第一」ということです。

どんなに稼げる資格でも、どんなに社会的に評価される仕事でも、無理をして体を壊してしまっては元も子もありません。
腰に不安があるなら重労働がある介護職は避ける、夜勤が辛いなら日勤のみの求人を探す、あるいは週3日のパートから始めてみるなど、自分の体の声に正直になることが大切です。

60代からの仕事選びで重要なのは、高収入を得ることよりも、「長く細く続けられること」、そして「自分が心地よくいられること」ではないでしょうか。

「60代からの挑戦」は、誰かと競争するためでも、無理をするためのものでもありません。
人生100年時代、残りの40年をより豊かに、より楽しく過ごすためのチケットを手に入れるためのものです。

焦らず、ご自身のペースで、自分にぴったりの資格を見つけていただければ嬉しいです。
あなたの新しい挑戦を、心から応援しています!

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